kewpie stand(キユーピースタンド)×CCCMK
リアルな顧客接点における購買トリガーのデータ分析で迫る“次世代の食ニーズ”

株式会社 トウ・アドキユーピー
広告宣伝部 広告宣伝一課 課長・加藤幸江 氏
広告宣伝部 広告宣伝二課・若松美幸 氏

株式会社 SHIBUYA109エンタテイメント
ソリューション事業部 IP開発部(イマダ キッチン担当)渡貫舞 氏

CCCMKホールディングス株式会社
CCCMK総合研究所 兼 ビジネスデータアナリシス部 大山翔平

 

 

課題意識とプロジェクト概要

CCCMKホールディングスのCCCMK総合研究所では、消費者データを活用したマーケティング支援を行っています。今回は、リアルイベント等で「ブランドの世界観」を直接感じた上で取得できる消費者データから、次世代のニーズを把握し、戦略に活かす取り組みをご紹介します。

消費者の方との直接的な接点を持つため、POPUPなどのリアルイベントを実施・検討している企業も多いと思います。しかし、売上やSNSでの拡散数をKPIにしてしまうと、ビジネスとしてのインパクトに限界もあると思います。リアルイベントの強みを最大限活かし、次の企画につなげていくことが求められます。

スーパーやコンビニなど日常の接点では中々取得できないZ世代の潜在ニーズは、リアルイベントでこそ取得できるのではないかという仮説のもと、キユーピー株式会社さま・株式会社SHIBUYA109エンタテイメントさまと共同でプロジェクトを実施しました。Z世代はもちろん、他世代にも共通する、「ブランドの好感度アップのトリガー」を、CCCMKホールディングスのリサーチ機能を活用して明らかにすることができました。

今回の取り組みは、リアルイベントをやりっぱなしにせず、”次”のニーズを探索するものと位置づけられます。本記事は、同様の想いを持った3社によるチャレンジの事例となります。Z世代のトリガーだけではなく、より多くの層に受け入れていただけるトリガーを把握すること、潜在ニーズを把握することを目指している方は、ご参考いただけると思います。

CCCMKでは蔦屋書店でもリアルイベントを実施しており、他にも同様の事例があります。ご興味いただいた方は、ページ下記より資料ダウンロードいただけますので、ご利用ください。



プロジェクト サマリ

【目的】
Z世代との共創プロジェクトを通して見つけた「キユーピー 深煎りごまドレッシング」の潜在ニーズを把握し、好感度アップのトリガーを探る。

【施策】
Z世代と企画段階から共創し、SHIBUYA109渋谷店地下2階「イマダ キッチン」にポップアップストアを展開。購買データやリサーチ結果をもとに潜在ニーズの分析を行った。

【効果】
イベント後アンケートでは「今後利用頻度が増える」と答えた方が約7割にのぼり、商品の汎用性が伝わった。また分析の結果、ごまドレ好感度アップのトリガーとなる”要素”を発見できた。
リアルイベントを「やりっぱなし」にせず、リアルイベントだからこそわかる次世代ニーズから、次の戦略立案に役立てた。


 

 

施策概要

 キユーピー株式会社は、SHIBUYA109渋谷店地下2階「IMADA KITCHEN(以下、イマダ キッチン)」と、キユーピーの人気No.1ドレッシング ※「深煎りごまドレッシング」のコラボによるポップアップストア「kewpie stand(キユーピースタンド)」を出店しました(2023年9月)。
(株)インテージSCI(全国消費者パネル調査)をキユーピーが集計(金額) 

キユーピー初の試みとなったZ世代との共創プロジェクトで生まれた「kewpie stand」及び「キユーピーまん」は、企画段階のワークショップからZ世代ならではの新たな発想や多彩な提案が盛り込まれていました。

そして「その発想や提案の中に、深煎りごまドレッシングの潜在ニーズがあるのではないか」という仮説のもと、CCCMKホールディングスにより、Z世代をはじめ幅広い世代に共通する「深煎りごまドレッシングの好感度アップ」のトリガーを把握するための調査・データ分析を実施しました。

本施策の背景や調査結果について、株式会社トウ・アドキユーピー広告宣伝部の加藤幸江氏・若松美幸氏と、「渋谷発フード」の開発を目指すフードブランド開発事業「イマダ キッチン」を手掛ける株式会社SHIBUYA109エンタテイメントの渡貫舞氏にお話を伺いました。

 

 

Z世代の感性を生かし、Z世代との接点を創出する

幅広い世代に広く知られているキユーピーブランドですが、そもそも「調味料」との接点が少ないZ世代とのコミュニケーションについて方法を模索していました。そのための施策としてSHIBUYA109渋谷店地下2階「イマダ キッチン」にポップアップストアを展開した背景を、加藤氏・若松氏は次のように説明しました。 

「おかげさまでキユーピーブランドの認知率は9割ほどなのですが、その中でも認知率の低いZ世代との接点を増やしたい、消費者が若いうちからコミュニケーションを取りたいという課題感を持っていました。SHIBUYA109さんにはZ世代に人気の高い店舗やコラボレーション企画があるほか、Z世代とコミュニケーションを構築できる取り組みがあると聞き、同じ渋谷ということもありお声がけさせていただいたのがきっかけです。

軸となる商品は『深煎りごまドレッシング』でお願いしました。深煎りごまドレッシングはキユーピーの主力商品で、サラダだけでなく鍋のタレやお肉にも使えますし、他の調味料との相性が良く汎用性があります。その点を訴求したいという思いがあり、同時にミッションでもありました」(加藤氏)

「ドレッシングのメインユーザーは中高年層の方が多く、Z世代の方は家でキユーピーのドレッシングを使っていても自分で購入しないためブランドを認識していないこともあります。そこで、改めてZ世代との直接的な接点を増やしたいと考えていました。109さんはZ世代に関する知見があるだけでなく、実店舗「イマダ キッチン」での店舗展開まで、一連のマーケティングを一緒にできる点が決め手となりました」(若松氏)
Z世代との共創プロジェクト、そして「マヨネーズ」ではなく「ドレッシング」を軸とするポップアップショップはキユーピー初の試みでした。前例のない企画をZ世代と考案するプロセスの中で、大切にした点や印象的だった点を次のように語ります。

「Z世代の感性を活かした内容にすることを最も大切にしました。これまでのイベントは当社の社員が主導でお店の方にやりたいことを伝えて作り上げてきましたが、今回は①『深煎りごまドレッシング』で展開したい②『深煎りごまドレッシング』には高い汎用性があることを訴求したいという2点のみをお伝えして、自由な発想でテイクアウトメニューを考えていただきました。

プロジェクトを進めるなかでZ世代ならではの視点やトレンドに対する感度の高さを感じました。メンバー全員が考え方や感性をしっかりと持っていて、活発な意見交換によりアイデアがブラッシュアップされていきました。楽しみながら取り組まれている感じが嬉しかったですね。トレンドを意識しながらも、キユーピーらしさ・キユーピーならどうしたら良いかといった視点からも考えてくれたことが印象的でした」(加藤氏)

「従来の〝キユーピー〟のイメージにとらわれず、Z世代のアイデアで今までにないクリエイティブになったことにも新しさを感じました。SNSの世界観を重視していて、『キユーピーまん』のバンズに押す焼き印一つにしても、きれいに撮れる大きさや位置まで考えられていました」(若松氏)
「企画コンセプトやキービジュアル、メニュー開発に至るまで、想定していたものとは異なるアイデアが多々あったことが印象に残っています。例えば、スイーツ系のメニューでは写真映え・かわいらしさという観点で『紫芋クリーム&バニラアイス』といった奇抜なアイデアが出たかと思えば、食事系では映えや見た目のインパクトよりもおいしさとして〝間違いない〟組み合わせである『エビアボカド』といったアイデアが出ました。Z世代というと、奇抜であったり新しいもの好きであったりするイメージを抱きやすいのですが、堅実さも備えています。

クリエイティブも最後までこだわりました。実際にSHIBUYA109が好きで、よく訪れているメンバーの意見があってこそ作り込めました。アイデアを現実的な形や実際の店舗でのオペレーションに落とし込むための擦り合わせは難しくもありましたが、『Z世代の意見を大事にしたい』という指針は一貫していました」(渡貫氏)




kewpiestandのイベントの反響について

ノベルティ「前髪クリップ」もZ世代のアイデアで、早い日には午前中に終了するほどの大人気でした(1日ごとに数量限定で配布)。
「来店 の満足度は高く『キユーピーのイメージ』が『とても良くなった/良くなった』との声を多く頂き、新たな取り組みがブランド価値の向上につながったと感じています。深煎りごまドレッシングの汎用性も伝えることができ、非常 に良い結果となりました」(若松氏)

「イマダキッチンではスイーツ系やテイクアウトが中心で、しっかり食事を取る場所というイメージがないため 心配もありましたが、集客としても良い結果になりました」(加藤氏)

「食事向きの〝しょっぱいもの〟がフロア自体にあまりないので、集客という意味ではむしろ良かったように思います。店舗にはキユーピー人形の巨大フィギュアを設置したことがアテンションとなり、自然と写真撮影をされているお客さまも多くいらっしゃいました。

商品に関してはたくさんの『おいしい!』という声をいただけましたし、特にスイーツ系のメニューとの相性に驚いたという反響が大きかったです。普段は野菜嫌いでドレッシング自体を買わないという方からも『唐揚げの味変で使ってみたい』という声もいただけました。『深煎りごまドレッシング=サラダ』というイメージに、新たな可能性を提示できたのではないでしょうか」(渡貫氏)

CCCMKの調査・データ分析から感じる、ごまドレの広がる可能性

CCCMKによる調査により『Z世代にも他世代にも通じるニーズがあること』と『深煎りごまドレッシングの汎用性の周知』が良い結果を収めたと分かりました。その他の情報やプロジェクトの成果を生かし、次の展開を検討しているそうです。

実は世代による差がそこまでなかったのが、今回の調査・データ分析の一番の発見でした。逆に言うと、キユーピースタンドのような施策は、他の世代の方々も、潜在的には求めているということ。その要素はどういったものなのか?を分析してレポートしました」(大山)

「イマダ キッチンでは、企画実施後にここまでの定量調査を実施したことはありませんでした。キ
ユーピーさまのブランド力を含めた結果ではありますが、Z世代発の企画が他世代にも波及していくことを数値で見られ、非常に良かったと考えています。『Z世代はメインターゲットではないから』と耳にすることも少なくないのですが、Z世代から広がる・広めていけると証明できたことを担当者として嬉しく感じました」(渡貫氏)

「リアルな体験だからこそ伝えられる楽しさ・ワクワク感があると考えています。商品のおいしさや魅力を知っていただき、さらに幅広い層に共感いただける結果となりましたし、好評だったメニューやクリエイティブを活かして次の展開につなげられたら楽しいですね」(加藤氏)

「調査結果に『キユーピーまんを喫食したい場所』としてスーパー・コンビニ・キッチンカーなどがありましたので、また皆さんに食べていただく機会を創れたらと考えています」(若松氏)

「マヨネーズだけでなく深煎りごまドレッシングも、キユーピーというブランドや世界観がトリガーとなって、ファンになってくれることもありそうな分析結果でしたね」(大山)

「調査結果からZ世代向けの施策でも幅広い世代・性別の方に支持していただけることがわかりましたので、より多くの方にキユーピーまんを楽しんでいただける機会を提供していけたらと思います。SHIBUYA109渋谷店や渋谷の外にも飛び出していければ嬉しいです」(渡貫氏)

Z世代の『シェア食』=友だちと楽しく食べられる・食べ比べしたくなる・情報をシェアしたくなるといった評価や、楽しさ・ワクワク感というキーワードは、Z世代との共創プロジェクトだからこそ把握できた内容と考えています」(加藤氏)

「イベントそのものはZ世代とのコミュニケーションに注力しましたが、Z世代特有の感性・感覚であると思いきや、他の世代にも広く応用できるという点は意外な発見でした。」(若松氏)

 

おわりに

リアルイベントで把握できた「要素」こそ、マーケター・リサーチャーだけでは検討できないユニークな点だと感じました。新しい顧客や新しい売物のニーズ調査だけではなかなか出てこないニーズが、リアルイベントを通して把握できました。

CCCMKでは蔦屋書店でもリアルイベントを実施しており、同様な調査をすると、マーケターが考えていた推しポイントとは異なる購買トリガーを把握できた事例もあります。
当イベントでも、若者特有の購買・好印象トリガーを構成する要素は、健康・ヘルシーといった機能的価値とは異なる点にありました。Z世代と食といった次世代ニーズ獲得への課題意識が高まる昨今、ターゲットが行動しているリアル接点を活用して、生きたインサイト把握をすることが効果的なのではないかと実感しております。

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